K-POP第4世代とは?メタバース・自体プロデュース・ファンプラットフォームが変えた時代 — aespa・NewJeans・Stray Kids、当時何が起きていたか

写真:티비텐(Wikimedia Commonsより、CC BY 3.0)

第3世代が海外市場開拓とファンダムプラットフォームの初期形態をつくった世代だったとすれば、第4世代はその土台の上で、アイドルという商品の規格そのものを書き換えた時代でした。画一化されたデビューの公式から外れ、グループごとに異なる世界観、異なる音楽スタイルを持つことが当たり前になり、ファンとのコミュニケーションはV LIVEの水準を超えて、有料の個人メッセージサービスにまで広がりました。今回も第4世代が「その後何を成し遂げたか」ではなく、デビュー当時の現場がどう動いていたかを追いかけます。

第3世代が広げた舞台の上で、第4世代が始まった

  • Stray Kids(ストレイキッズ) — 2018年3月25日デビュー、8人組(JYP)。バンチャン・チャンビン・ハンで構成される自体プロデュースチーム「3RACHA(スリラチャ)」がアルバムの大半を作詞・作曲
  • ATEEZ(エイティーズ) — 2018年10月24日デビュー、8人組(KQエンターテインメント)。海賊の世界観から始まり、後にマルチバースの物語へと拡張
  • ITZY(イッジ) — 2019年2月12日デビュー、5人組(JYP)
  • TOMORROW X TOGETHER(トゥモローバイトゥゲザー、TXT) — 2019年3月4日デビュー、5人組(ビッグヒットミュージック)
  • ENHYPEN(エンハイフン) — 2020年11月30日デビュー、7人組(ビリーフラボ=CJ ENM・ビッグヒット合弁)。サバイバル番組「I-LAND(アイランド)」出身
  • aespa(エスパ) — 2020年11月17日デビュー、4人組(SM)。メンバーそれぞれにデジタル世界のアバター「ae-」が存在するという世界観
  • IVE(アイヴ) — 2021年12月1日デビュー、6人組(スターシップエンターテインメント)
  • LE SSERAFIM(ルセラフィム) — 2022年5月2日デビュー、当時6人組(ソースミュージック=HYBE)
  • NewJeans(ニュージーンズ) — 2022年7月22日「Attention」MV公開、8月1日正規EP発売、5人組(ADOR=HYBE)

(人数はデビュー当時のもの。その後の変動については別記事で扱う予定です。)この世代からは、グループごとにまったく異なる世界観とサウンドを持つことが基本になりました。

自体プロデュースから世界観の拡張へ

第2世代のBIGBANG、第3世代のSEVENTEENが受け継いできた自体プロデュースの流れは、Stray Kidsの3RACHAでもう一度引き継がれます。違うのは、ここに「世界観」が本格的に組み合わされたことです。ATEEZはデビューアルバムから8人の海賊が宝物を探しに旅立つという設定を打ち出し、以降アルバムを重ねるごとに並行世界やディストピア社会「ストリクトランド」といった設定を積み重ね、ひとつの連作叙事詩へと育てていきました。1枚のアルバムではなく、複数のアルバムにまたがるストーリーラインを追いかける鑑賞スタイルが、この時期から定着しました。

メタバースアイドルの登場 — aespaと「ae-」

2020年11月17日にデビューしたaespaは、カリナ・ジゼル・ウィンター・ニンニンの4人それぞれに、デジタル世界に存在するアバター「ae-」がいるという世界観を打ち出しました。グループ名自体、アバターを意味する「æ」と両面性を意味する「aspect」を組み合わせた造語です。現実のメンバーと仮想のアバターが交信するという設定は、それまでミュージックビデオの中のコンセプトにとどまっていた世界観を、グループのアイデンティティの核へと引き上げた事例として挙げられます。

Y2K感性と「グローバルファースト」戦略 — NewJeans

2022年7月22日に公開されたデビュー曲「Attention」のミュージックビデオは、それまでの世代の華やかなパフォーマンス中心のコンセプトとは対照的に、2000年代初頭の感性をそのまま持ち込んだローファイなトーンで話題を集めました。続いて公開された「Hype Boy」は、防弾少年団(BTS)のVが参加したチャレンジ映像が公開10時間で再生回数2000万回、1日で3600万回を突破し、TikTokチャレンジそのものが一つの宣伝チャンネルとして定着したことを示しました。ミン・ヒジン元CBOが率いたADOR(HYBE傘下)のこのデビューは、コンセプトの公開から音楽スタイルまで、それまでの世代との断絶を意図的に打ち出した事例として評価されています。

サバイバルの進化 — I-LANDとグローバル投票

第3世代のPRODUCE 101が国内の視聴者を「国民プロデューサー」と呼び、国内投票でデビューメンバーを決めたとすれば、2020年に放送されたMnet「I-LAND(アイランド)」は、Weverseプラットフォームを通じたグローバル投票を初めて導入しました。海外のファンが国内のファンと同じ条件で投票に参加できるようになったことで、デビュー前から海外ファンダムを形成する方式が可能になりました。この番組を通じて2020年11月30日、ジョンウォン・ヒスン・ジェイ・ジェイク・ソンフン・ソヌ・ニキの7人組としてデビューしたグループがENHYPENです。

Weverse・Bubble、そして画面越しにしか会えなかったファンたち

第3世代後半、V LIVEとペンライト程度だったファンとアイドルのコミュニケーション方式は、この時期に一変します。ビッグヒット(現HYBE)は2019年6月1日、総合ファンダムプラットフォーム「Weverse」を正式にリリースし、DearU(ディアユー)は2020年2月、サブスクリプション型メッセージサービス「Bubble」を打ち出しました。Bubbleは月額購読料を払うとアイドルから送られる「1対1」形式のメッセージを受け取れるサービスで、実際には数千人に同時送信されるメッセージながら、個人メッセージのように感じさせる設計になっているのが特徴です。

ここに決定的に重なったのが新型コロナウイルスでした。2020年3月、新人グループMCND(タップメディア)がデビューアルバムを記念して、映像通話でファンと会う「Meet & Call」ファンミーティングを行いましたが、対面イベントが全面中止となった状況で、この方式は急速に業界標準として定着しました。実際、2020〜2021年にデビューしたaespa・ENHYPENのようなグループは、デビュー後半年以上ファンと直接会えないまま、Weverse・Bubbleと映像通話ファンサイン会だけでやり取りしなければなりませんでした。それまでの世代がオフラインのファンサイン会やコンサートで積み上げてきた親密さが、この時期から画面の向こうの関係へと再編されたのです。

まとめ — 第4世代が変えたこと

第4世代が変えたのは、音楽スタイルよりもアイドルという商品をつくる方式そのものでした。自体プロデュースは世界観の拡張へとつながり(Stray Kids・ATEEZ)、世界観は現実と仮想をつなぐメタバースのコンセプトにまで進み(aespa)、サバイバルオーディションは国内投票からグローバル投票へと移り(I-LAND)、ファンとのコミュニケーションはWeverse・Bubbleのような有料・統合プラットフォームへと再編されました。NewJeansのデビュー以降の歩みや所属事務所をめぐる紛争など、その後に起きた出来事については、これまでと同様に別の記事で扱う予定です。世代全体の流れは「K-POPの「世代」って何?」の記事にまとめています。

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