SEVENTEEN(세븐틴)の日本での活躍は、日本のファンのほうがよく知っているはずだ。ここで書きたいのはその反対側、韓国でSEVENTEENがどう受け止められてきたかである。2015年のデビューから2026年10月の今までをたどる。
1. 13+3+1=17
SEVENTEENはPLEDISエンターテインメント(플레디스엔터테인먼트)のボーイグループで、メンバーは次の13人である。エスクプス(에스쿱스)、ジョンハン(정한)、ジョシュア(조슈아)、ジュン(준)、ホシ(호시)、ウォヌ(원우)、ウジ(우지)、ディエイト(디에잇)、ミンギュ(민규)、ドギョム(도겸)、スングァン(승관)、バーノン(버논)、ディノ(디노)。
グループ名は足し算になっている。13人のメンバー、3つのユニット、1つのグループで17だ。ユニットはヒップホップ、ボーカル、パフォーマンスの3つである。
練習生時代の姿は、デビュー前からインターネット放送「SEVENTEEN TV(세븐틴TV)」で公開されていた。2013年のシーズン3は、Ustreamで週3回、3時間ずつ流されている。
2015年5月26日、イルサン(일산)のMBCドリームセンターでデビューショーケースが開かれ、29日に1stミニアルバム『17 CARAT』が出た。タイトル曲は「Adore U(아낀다)」である。
デビュー当時、メンバーは「13人組にしかできないパフォーマンスを全部見せたい」と語った。人数が多すぎると揶揄されたグループだった、という回想は、のちに韓国メディアで何度も書かれることになる。
2. 「自主制作ドル」という呼び名
「Adore U」は、ウジが作詞・作曲・プロデュースした曲だ。振り付けはホシがパフォーマンスディレクターとしてまとめた。メンバーが曲も振り付けも舞台構成も自分たちで手がけることから、韓国では「自主制作ドル(자체제작돌)」と呼ばれるようになる。ドルはアイドルの略である。
エクスポーツニュース(엑스포츠뉴스)は2019年、SEVENTEENを自主制作ドルの先駆けと位置づけ、当時は自作曲で1位を獲るのは簡単ではなかったと書いた。初期のキーワードは、爽やかさを意味する「清涼美(청량미)」だった。「MANSAE(만세)」の振り付け練習動画も大きな話題になった。
韓国の記事でウジは、プロデューサーのBUMZU(범주)と並び、数々のヒット曲を生んだアルバムプロデューサーとして紹介される。
3. 「Pretty U」で初の1位
初めての音楽番組1位は、2016年5月4日のMBC MUSIC『SHOW CHAMPION(쇼! 챔피언)』で、曲は1stフルアルバムのタイトル曲「Pretty U(예쁘다)」だった。受賞の感想を求められたメンバーは、感極まってしばらく言葉が出なかった。
同じ年の7月には、リパッケージアルバムのタイトル曲「VERY NICE(아주 NICE)」が出た。のちにSEVENTEENのコンサートでアンコールの定番になり、2024年にはグラストンベリーのステージでも最後の曲として歌われている。
2017年5月の「Don’t Wanna Cry(울고 싶지 않아)」は、SEVENTEENが初めてタイトル曲に据えたEDMナンバーである。エスクプスは、少年の感情のうち悲しみを見せる曲だと説明した。
同じ年の2ndフルアルバム『TEEN, AGE』のタイトル曲が「CLAP(박수)」だ。
2018年2月のスペシャルアルバム『DIRECTOR’S CUT』のタイトル曲「THANKS(고맙다)」は、韓国の音源サイトMelOn(멜론)で1位になり、KBS『ミュージックバンク(뮤직뱅크)』でも1位を獲った。
2019年1月の「Home」では、SBS『人気歌謡(인기가요)』で1位になっている。
4. ブソクスン ― 本名から生まれたユニット
2018年3月には、スングァン、ドギョム、ホシの3人で「ブソクスン(부석순)」がデビューした。英語表記はBSSである。名前は3人の本名、プ・スングァン(부승관)、イ・ソクミン(이석민)、クォン・スニョン(권순영)から1文字ずつ取ったものだ。デビュー曲は「Just do it(거침없이)」。
そのブソクスンの名を広く知らしめたのが、2023年2月の「Fighting(파이팅 해야지)」である。ラッパーのイ・ヨンジ(이영지)を迎えたこの曲は、MelOn、Genie(지니)、Bugs(벅스)のリアルタイムチャートで1位になり、地上波3局の音楽番組を含めて8冠を達成した。タイトルを直訳すれば「ファイトしなきゃ」。TikTokを中心にチャレンジ動画も流行した。
5. 『GOING SEVENTEEN』と「ご飯の友」
韓国でSEVENTEENの名を広めたもう一つの柱が、自主制作のバラエティ『GOING SEVENTEEN(고잉 세븐틴)』だ。2017年に舞台裏映像として始まり、2019年から本格的なバラエティになった。
推理、ホラー、スポーツ、グルメと毎回テーマが変わることから、MBCの人気バラエティになぞらえて「アイドル界の『無限挑戦(무한도전)』」と呼ばれる。食事をしながら見るのにちょうどいい動画を韓国では「ご飯の友(밥친구)」と言うが、その代表格としても知られる。ファン以外も楽しめる作りで、この番組からファンになった人も多い。
2020年8月公開の「鬼ごっこ(술래잡기)」編は、2024年1月の時点で1763万回を超えて再生されていた。2026年7月の報道によれば、2019年以降に公開された回は200本を超え、累計再生回数は15億回に迫る。
6. HYBE合流と全員再契約
2020年5月、BTSの所属事務所ビッグヒット(빅히트)がPLEDISの株式を取得し、筆頭株主になった。ビッグヒットはのちに社名をHYBE(하이브)に変える。PLEDISというレーベルはそのまま残った。
2021年には、契約満了を前にメンバー13人全員がPLEDISと再契約した。一人も欠けずにそろって残ったことは、韓国でも話題を集めた。
同じ年、ミンギュは学生時代のいじめ疑惑がネットに書き込まれ、活動を一時休止した。PLEDISは当事者と連絡を取って事実関係を確認したと発表し、ミンギュは4月に活動を再開している。
7. 2023年、デビュー9年目の初の大賞
2023年4月の10thミニアルバム『FML』は620万枚以上を売り、K-POPアルバムの最多販売記録を塗り替えた。ダブルタイトル曲の一つ「Super(손오공)」は、MelOnとBugsのリアルタイムチャートで1位になっている。
10月の11thミニアルバム『SEVENTEENTH HEAVEN』は、発売から1週間の販売枚数、いわゆる初動が509万枚を超えた。初動で500万枚を超えたK-POPアルバムはこれが初めてである。タイトル曲は「God of Music(음악의 신)」だった。
11月、東京ドームで開かれた『MAMA AWARDS』で、『FML』は大賞の一つ「今年のアルバム」に選ばれた。デビューから9年目にして初めての大賞である。膝の前十字靭帯断裂で活動を休んでいたエスクプスも、受賞の瞬間には舞台に上がった。スングァンはこの年4月に亡くなった親友、ASTROのムンビン(문빈)に「ありがとう」と呼びかけた。
2024年1月には『ゴールデンディスクアワード(골든디스크 어워즈)』でもアルバム部門の大賞を受け、2025年にも連続で選ばれた。
8. 10周年と「MAESTRO」
2024年4月のベストアルバム『17 IS RIGHT HERE』のタイトル曲は「MAESTRO」だ。ウジとBUMZUが作った曲で、「VERY NICE」や「Adore U」など過去の7曲の音が少しずつ溶け込んでいる。ウジによれば、マエストロとはその道で誰もが認める人のこと。流れを率いるトップになろう、という意味を込めたという。
この年の6月には、イギリスのグラストンベリー・フェスティバルで、メインのピラミッドステージにK-POPグループとして初めて立った。
ユニットの組み合わせも増えていく。2024年6月にはジョンハンとウォヌの「Last night(어젯밤)」、2025年3月にはホシとウジの「96ers(동갑내기)」が出た。
デビュー10周年の前日、2025年5月25日には、漢江(한강)にかかる潜水橋(잠수교)でK-POPアーティスト初の公演を開いた。
翌26日、デビュー記念日に5thフルアルバム『HAPPY BURSTDAY』が出る。タイトル曲「THUNDER」はウジが作曲に加わったEDMベースのダンスポップで、音楽番組で7冠を獲った。
同じ年の9月には、エスクプスとミンギュのユニットも1stミニアルバム『HYPE VIBES』でデビューした。
9. 軍白期の中の13人
韓国ではアイドルが兵役で活動できない期間を「軍白期(군백기)」と呼ぶ。SEVENTEENでは2024年9月26日、ジョンハンが社会服務要員として最初に兵役に就いた。続いてウォヌが2025年4月に社会服務要員として、ウジが同年9月15日、ホシが16日に陸軍の現役兵として服務を始めている。
2026年に入ると、残るメンバーも順に続いた。バーノンが8月20日(社会服務要員)、ドギョムが9月8日(陸軍現役)、ミンギュが9月10日(社会服務要員)。スングァンとディノは10月26日に陸軍の軍楽兵として入隊する予定だ。エスクプスは2023年の膝のけがで兵役免除の判定を受け、ジョシュア、ジュン、ディエイトは外国籍のため兵役の義務がない。
それでもグループの足は止まっていない。2025年9月に仁川(인천)で始まったワールドツアー「NEW_」は、2026年4月に同じ会場でアンコール公演を迎えた。その最終日、エスクプスは13人そろっての再契約を予告し、PLEDISは7月に2度目の全員再契約を正式に発表した。6月にはディエイトとバーノンのユニットV8も1stミニアルバムを出している。
ジョンハンは2026年6月25日に服務を終え(召集解除)、メンバーで最初に兵役を果たした。そして10月19日、ジョシュアとのユニットで1stミニアルバム『DREAMSCAPE』を出す。タイトル曲「12 o’clock」は、BUMZUが作詞・作曲に加わった曲である。
日本の読者へ
日本のステージでSEVENTEENを好きになった人には、韓国語のタイトル曲を発売順に聴いてみることをすすめたい。人数が多すぎると言われた13人が、自分たちで曲と踊りを作り、9年かけて大賞にたどり着くまでの道のりが聴こえてくるはずだ。
最初に聴くなら、次の5曲である。
- 「Adore U(아낀다)」
- 「VERY NICE(아주 NICE)」
- 「THANKS(고맙다)」
- 「God of Music(음악의 신)」
- 「MAESTRO」
そして、ご飯を食べながら『GOING SEVENTEEN』を1本。韓国のファンと同じ「ご飯の友」の楽しみ方である。
※アイキャッチ画像:Seventeen 17 Is Right Here Press.jpg by Seventeen(Wikimedia Commons、CC BY 3.0)

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