韓国ドラマのOSTはなぜチャート1位になるのか ― 『冬のソナタ』から『トッケビ』、そして「OSTの女王」たち

『冬のソナタ』のロケ地、南怡島(ナミソム)

韓国では、ドラマが当たると、その挿入歌が音源チャートの1位になる。珍しいことではなく、毎年のように起きている。この記事では、韓国のOST(オリジナル・サウンドトラック)がどういう仕組みで出され、どんな曲と歌手がチャートを動かしてきたのかを、韓国の報道とチャートの記録からたどってみる。

1. 韓国のOSTは「Part」ごとに毎週出る

韓国ドラマのOSTには、たいてい「Part 1」「Part 2」という番号がついている。放送が進むのに合わせて、1曲ずつ順番に配信されるからだ。

たとえば2016年の『太陽の末裔 Love Under The Sun(태양의 후예)』では、Part 1のユン・ミレ(윤미래)「ALWAYS」が2月18日の0時に出て、残りの曲も毎週木曜の0時に1曲ずつ公開されると発表された。

この出し方が広がったのは2010年代である。音楽配信サイトのMnet(엠넷닷컴)の分析によれば、2010年ごろからOSTをPartに分けて出すようになり、2012年からは一つの作品から何曲もヒットが出る、いわゆるマルチヒットの流れができた。年間チャートに占めるOSTの割合は、2007〜2011年には10%以下だったが、2012年には18%に跳ね上がったという。2014年2月のガオンチャート(가온차트)の週間ランキングでは、トップ10に入った曲の6割以上がOSTだった。

金銭面での影響も大きい。2014年の経済紙イートゥデイ(이투데이)は、人気歌手ならOST1曲で数億ウォンの売上になると書き、白智英(ペク・チヨン、백지영)のOSTの売上は約100億ウォンとされると伝えている。

2. 『秋の童話』と『冬のソナタ』

2000年の『秋の童話(가을동화)』は、OSTのアルバムが発売から半月で20万枚売れた。一番人気はギター曲「ロマンス(로망스)」で、新人歌手チョン・イリョン(정일영)が歌う「祈り(기도)」も、主人公2人のテーマとして人気を集めた。

2002年の『冬のソナタ(겨울연가)』の主題歌は、新人歌手Ryu(류)の「最初から今まで(처음부터 지금까지)」である。歌詞はRyu本人が書いた。挿入歌の「My Memory」も人気になった。

日本では2003年にNHKのBSで放送され、翌2004年に地上波で放送されてブームになった。2003年9月に日本で出たOSTアルバムは、オリコン週間トップ10に通算16週とどまり、累計91万枚を売り上げた。トップ10に16週という数字は、2012年に少女時代(소녀시대)のアルバムが17週で破るまで、韓国の歌手による最長記録だった。

『宮廷女官チャングムの誓い(대장금)』の主題歌「오나라(オナラ)」も、海外で広く知られた曲だ。日本語の「おなら」とは関係のない言葉である。2006年には、ドラマのブームに乗ってシンガポールでもこの歌が人気だと、韓国で報じられている。

3. 「OSTの女王」白智英と、その後継者たち

2010年の『シークレット・ガーデン(시크릿 가든)』では、Part 1に白智英の「あの女(그 여자)」が入った。

主演のヒョンビン(현빈)が自分で歌った「あの男(그 남자)」もある。こちらは2011年1月の第2週、メロン(멜론)などの週間音源チャートで1位になり、Bugs(벅스)のトップ50にはこのドラマのOSTが9曲も入った。

白智英は『アイリス(아이리스)』の「忘れないで(잊지 말아요)」などもヒットさせ、韓国メディアから「OSTの女王(OST 여왕)」と呼ばれた。2014年の記事では、その座を継いだ「OSTクイーン」としてリン(린)の名前が挙がっている。

リンの代表曲は、2013年の『星から来たあなた(별에서 온 그대)』の「My Destiny」である。初回の放送で一部だけ流れると、配信を求める声が相次ぎ、そのあとで発売された。2013年12月27日の朝には、メロンをはじめ8つの音源チャートで1位になっている。

同じドラマのOSTからは、ソン・シギョン(성시경)の「君のすべての瞬間(너의 모든 순간)」もメロンの週間2位に入った。

男性歌手では、イ・スンチョル(이승철)が「OST界のヒット請負人」と呼ばれてきた。

4. 『太陽の末裔』と『トッケビ』

2016年の『太陽の末裔』は、OSTがチャートの上位に何曲も並んだ。3月第2週のMnetとソリバダ(소리바다)の週間チャートでは、1位がコミ(거미)の「You Are My Everything」、2位がダビチ(다비치)の「この愛(이 사랑)」、4位がユン・ミレの「ALWAYS」だった。

同じ週の7位には、EXO(엑소)のチェン(첸)とPunch(펀치)の「Everytime」も入っている。アイドルがOSTを歌うのも、韓国ではごく普通のことだ。

コミはこの曲でいくつもの音楽賞のOST部門を受賞し、「OSTクイーン」と呼ばれるようになった。ちなみに夫は俳優のチョ・ジョンソク(조정석)で、後で触れる「アロハ(아로하)」の歌い手である。

2016年に放送が始まった『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜(도깨비)』は、さらに大きな記録を残した。Part 9のエイリー(에일리)「初雪のように君のもとへ行く(첫눈처럼 너에게 가겠다)」は、メロンの2017年年間チャートで1位になった。2位はIU(아이유)の「夜の手紙(밤편지)」で、ドラマの挿入歌がこれを上回ったのである。エイリーも韓国メディアに「OSTクイーン」と呼ばれている。

Part 1は、EXOのチャンヨル(찬열)とPunchの「Stay With Me」だった。公式MVの再生回数は、2026年10月の時点で5億回を超えている。

Part 4のクラッシュ(크러쉬)「Beautiful」も、ドラマを見た人なら耳に残っているはずだ。

5. 『梨泰院クラス』と『愛の不時着』 ― 逆走とNetflix

2020年は、二つのドラマのOSTが続けて1位を獲った。

『愛の不時着(사랑의 불시착)』のOSTは、2019年12月15日から毎週1曲ずつ出た。4曲目のPart 4、ペク・イェリン(백예린)の「再び私はここに(다시 난, 여기)」は、2020年1月13日に主要サイトのリアルタイムチャートで1位になった。それまでの3曲には1位がなく、この曲が初めてだった。

『梨泰院クラス(이태원 클라쓰)』のPart 2、ガホ(가호)の「始まり(시작)」は、もっと劇的である。2月1日の配信直後は812位だったが、ドラマの人気とともに順位を上げ、43日後の3月15日にメロンの日間チャートで1位になった。それまでに公開された13曲のOSTの中で、初めての1位だった。

日本では2020年4月ごろから、『愛の不時着』がNetflixで話題になった。コロナ禍で、家で過ごす時間が増えた時期である。

6. 歌う俳優たち

俳優が自分で歌うOSTも多い。

『賢い医師生活(슬기로운 의사생활)』のPart 3「アロハ」は、男女混成グループCOOL(쿨)の曲をチョ・ジョンソクがリメイクしたものだ。2020年4月、配信から20日でメロンの1位になり、Genie(지니)の週間チャートでも1位になった。

2024年の『ソンジェ背負って走れ(선재 업고 튀어)』では、主演のピョン・ウソク(변우석)が劇中バンドECLIPSE(이클립스)として「にわか雨(소나기)」を歌った。劇中で主人公が初恋の相手を思って作った曲という設定である。メロンの週間チャートでは22位から7位まで上がり、最終回のあとの6月6日にもメロンTOP100の4位にいた。ビルボードのグローバル200にも199位で入っている。

同じ2024年の『涙の女王(눈물의 여왕)』では、主演のキム・スヒョン(김수현)が「プロポーズ(청혼)」を歌った。キム・スヒョンは『星から来たあなた』でも「君の家の前(너의 집앞)」を歌っている。

ただ、このドラマで一番売れたOSTは、クラッシュの「ごめん、憎い、愛してる(미안해 미워해 사랑해)」だった。メロンTOP100の最高5位は、2024年6月の時点で、その年に出たOSTの中で最も高い順位だった。

7. ドラマの外へ ― 『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』

2025年には、ドラマではなくアニメ映画のOSTが、世界のチャートで記録をつくった。Netflixのアニメ映画『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ(케이팝 데몬 헌터스)』の劇中グループHUNTR/X(헌트릭스)の「Golden」が、アメリカのビルボードHot 100で1位になったのだ。女性ボーカルのK-POP曲として初めてのHot 100の1位で、2025年8月から10月までに通算8週、首位に立った。

8. 日本の主題歌とどこが違うか

日本のドラマでは、主題歌1曲がドラマとセットで記憶されることが多い。韓国では、一つのドラマに十数曲のOSTがあり、それぞれ違う歌手が歌う。『梨泰院クラス』の場合、「始まり」が1位になった時点で、すでに13曲のOSTが公開されていた。

視聴者は回を追うごとに新しい曲に出会い、気に入った曲をすぐ配信サイトで聴く。だから、ドラマが当たると何曲もチャートに並ぶ。韓国のOSTは、ドラマと同じ速さで毎週進んでいく音楽なのである。

日本の読者へ

韓国ドラマを見たら、エンディングのあとにOSTのリストも見てほしい。一つの作品の中に、何人もの歌手の声が入っているはずだ。

最初に聴くなら、次の5曲である。

  • 「最初から今まで」Ryu
  • 「あの女」白智英
  • 「初雪のように君のもとへ行く」エイリー
  • 「始まり」ガホ
  • 「アロハ」チョ・ジョンソク

そして次に韓国ドラマを見るときは、Part 1から順に聴いてみてほしい。毎週1曲ずつ増えていくのが、韓国のOSTの楽しみ方である。

※アイキャッチ画像:Winter Sonata Nami Island.jpg by Penmerahpenbiru(Wikimedia Commons、CC BY 3.0)

コメントをどうぞ