MAMAMOOを韓国側から見る ― ビジュアルより歌唱力。中小事務所から這い上がった実力派ガールズグループと、ファサ・ソラ・ムンビョル・フィインのソロ

MAMAMOOの4人(2026年のステージ)

韓国メディアがMAMAMOO(마마무)を紹介するとき、よく使う言葉が「実力派(실력파)」である。大手事務所の出身ではなく、デビュー当初は「あれで本当にガールズグループ?」と言われたグループだ。この記事では、韓国でMAMAMOOがどう受け止められてきたのかを、2014年のデビューから2026年の今までたどってみる。

1. デビュー前から、先輩たちと歌っていた

メンバーはソラ(솔라)、ムンビョル(문별)、フィイン(휘인)、ファサ(화사)の4人。正式デビューの前に、まず実力派の先輩歌手との共演曲で名前が知られた。

2014年1月には、R&B歌手のボムキ(범키)と組んだ「Don’t Be Happy(행복하지마)」を出した。ボムキは当時、仮歌を聴いただけで緊張した、この子たちは間違いなく売れる、と話している。

2月にはケイウィル(케이윌)とフィソン(휘성)が参加した「Peppermint Chocolate(썸남썸녀)」、5月にはヒップホップデュオのGeeks(긱스)との曲が続いた。

そして2014年6月18日、ミニアルバム『HELLO』でデビューする。タイトル曲はレトロファンクの「Mr. Ambiguous(Mr.애매모호)」で、翌19日、KBS『ミュージックバンク(뮤직뱅크)』で初ステージを踏んだ。

2. 『不朽の名曲』で見つかった新人

MAMAMOOの名前を広めたのは、音楽バラエティだった。2015年1月、KBS『不朽の名曲(불후의 명곡)』に初めて出演し、チュ・ヒョンミ(주현미)の「ちょっと待って(잠깐만)」を自分たちの色に作り変えて歌った。結果はチョン・ドンハ(정동하)、ホン・ギョンミン(홍경민)を破っての2連勝。歌手のキム・ギョンホ(김경호)は「こんな実力派アイドルに会えてうれしい」と語り、ムン・ヒジュン(문희준)は「エイリー(에일리)が4人いるようだ」と絶賛した。

2016年4月にはユン・スイル(윤수일)の「恍惚の告白(황홀한 고백)」で443点を取り、この番組で初めての最終優勝を手にした。

MBC『覆面歌王(복면가왕)』にも出ている。2015年8月にソラが、2016年4月にはフィインが仮面をかぶって登場した。フィインがこのとき歌ったのは、パク・ジニョン(박진영)の「Who’s your mama?(어머님이 누구니)」である。

3. 「Um Oh Ah Yeh」から、初の1位まで

2015年6月19日に出た2枚目のミニアルバム『Pink Funky』のタイトル曲が、「Um Oh Ah Yeh(음오아예)」である。作曲はヒットメーカーのキム・ドフン(김도훈)。発売翌日の朝には、Mnet、Soribada、Genieなど複数の音源サイトのリアルタイムチャートで1位に入った。ファサはのちに、この曲のおかげでグループの名前を知ってもらえたと振り返っている。

ただ、音楽番組の1位にはなかなか届かなかった。初めて手が届いたのは、2016年2月26日発売の1stフルアルバム『Melting』のタイトル曲「You’re the Best(넌 is 뭔들)」である。主要音源チャートをすべて制する、いわゆる「パーフェクト・オールキル」をデビュー後初めて達成し、3月6日にはSBS『人気歌謡(인기가요)』で、テミン(태민)、テヨン(태연)を抑えて初の1位を獲った。デビューから627日目のことである。

4. 「ガールクラッシュ」の代表格

同じ2016年の11月には「Decalcomanie(데칼코마니)」を出した。この曲は、年末の青龍映画賞(청룡영화상)の祝賀ステージでも話題になった。俳優たちの名前や映画の名セリフを歌詞に入れて歌い、その映像がSNSで一気に広がったのである。

2017年6月の「Yes I am(나로 말할 것 같으면)」のころには、韓国メディアはMAMAMOOを「ガールクラッシュ(걸크러시)」の代表格として紹介するようになっていた。女性が憧れる、かっこいい女性という意味だ。デビュー当初の「あれでガールズグループ?」という反応も好意的に変わった、とメンバーは話している。

2018年3月の「Starry Night(별이 빛나는 밤)」はMelonのリアルタイムチャートで1位に立ち、『ミュージックバンク』など複数の音楽番組で1位を獲った。7月の「Egotistic(너나 해)」はレゲトンの曲で、事務所は「元祖ガールクラッシュ」らしい魅力を見せる曲だと紹介した。この年のMAMAでは、ファン投票による賞と「フェイバリット・ボーカル・アーティスト」の2冠だった。

2019年11月には2枚目のフルアルバム『reality in BLACK』のタイトル曲「HIP」で、Mnet『Mカウントダウン(엠카운트다운)』と『ミュージックバンク』の1位を獲った。ザ・ファクトミュージックアワード(더팩트 뮤직 어워즈)では、2019年と2020年の2年続けて「今年のアーティスト賞」を受けている。

2020年には「AYA」を出した。

一方で、2017年3月には問題も起きた。ソウルでの単独コンサートで、顔を黒く塗ってブルーノ・マーズのミュージックビデオを真似る場面があり、黒人を蔑む表現だとの批判が出た。事務所は翌日、公式ファンカフェで謝罪し、2回目の公演からその部分を削った。

5. 4人の所属が分かれる

2021年1月にソラとムンビョル、3月にファサが事務所RBWと再契約した。一方、フィインは6月に再契約しないことを決め、MAMAMOOとしての一部の活動は2023年12月まで続けるという合意を結んだ。8月にはVIXXのラビ(라비)が立ち上げたレーベル、THE L1VE(더라이브)に移った。2025年7月からは、Apinkのメンバーも所属するウィズアス・エンターテインメント(위드어스엔터테인먼트)が新しい所属先である。

2023年6月にはファサのRBWとの契約も終わる。6月30日、彼女はPSY(싸이)のコンサート『びしょ濡れショー(흠뻑쇼)』の舞台上で、P NATION(피네이션)との契約書にサインしてみせた。P NATIONについては、以前書いたPSYの記事も読んでほしい。RBWに残ったのはソラとムンビョルで、2人は2023年からユニットMAMAMOO+としても活動している。

グループのアルバムは2022年10月のミニアルバム『MIC ON』が最後になり、10周年の2024年も、4人そろってファンに会うイベントは開かれなかった。

6. ソロ ― ファサ

ファサの2019年2月13日のソロデビュー曲「TWIT(멍청이)」は、発売当日にMelonをはじめとする主要サイトのリアルタイムチャートで1位に立ち、ゴールデンディスクアワード(골든디스크어워즈)のベストソロアーティスト賞などを受けた。

バラエティでの人気も大きい。2018年6月にMBC『私は一人で暮らす(나 혼자 산다)』に初めて出ると、気取らない姿とホルモン焼き(곱창)を豪快に食べる場面が話題になり、その年のMBC芸能大賞(MBC 연예대상)で新人賞を受けた。

2020年6月には、自作のタイトル曲「Maria(마리아)」を収めた初のミニアルバムを出した。P NATION移籍後の最初の曲は、2023年9月の「I Love My Body」である。

そして2025年10月の「Good Goodbye」だ。ミュージックビデオには俳優のパク・ジョンミン(박정민)が出ている。11月19日の第46回青龍映画賞で、2人が映画のような演出のステージを見せると、曲は逆走してMelonの日間チャート1位に立った。国内の主要6チャートを制し、12月6日にはMBC『ショー!音楽中心(쇼! 음악중심)』で、番組に出演しないまま1位を獲っている。9年前に「Decalcomanie」で話題をさらったのと、同じ青龍映画賞の舞台だった。

7. ソロ ― ソラ、ムンビョル、フィイン

リーダーのソラは、プロジェクト音源『ソラ感性(솔라감성)』でも歌声を聴かせてきた。正式なソロデビューは2020年4月23日の「Spit it out(뱉어)」で、自身も作詞・作曲に参加した曲である。JTBC『風流大将(풍류대장)』やMnet『BUILD UP』では審査員を務め、歌を評価する側にも立っている。

ムンビョルは、2018年5月の「SELFISH」でソロデビューした。Red Velvetのスルギ(슬기)が参加している。2024年2月には初のソロフルアルバム『Starlit of Muse』を出した。

フィインは2021年4月、初のミニアルバム『Redd』のタイトル曲「water color」を出し、Bugsのリアルタイムチャートで1位に立った。2024年2月の初の単独コンサートは、2日間とも完売した。

8. 2026年、3年8か月ぶりの4人

2026年6月4日、MAMAMOOはスペシャルシングル『4WARD』を出した。4人の「4」と、前進を意味するFORWARDを合わせた名前だ。4人の新曲は2022年10月以来、約3年8か月ぶりである。タイトル曲「4 Flowers」は、咲いては散っても一つの根でつながっている花のように、時間がたっても変わらない関係を歌ったミディアムポップだ。

6月19日から21日までソウル・オリンピック公園のオリンピックホールで開いたワールドツアー『MAMAMOO 2026 WORLD TOUR [4WARD]』は、先行予約だけで3公演が完売した。ツアーはアジア、アメリカ、オーストラリアを回り、日本では10月25日に東京ガーデンシアターでの公演も組まれた。

所属事務所は3つに分かれたままだ。それでも4人はグループとして戻ってきた。経済紙の韓国経済(한국경제)は、この曲の紹介記事に「散らばっても根は一つ」という見出しを付けた。

9. 中小事務所から、実力で

MAMAMOOの歩みを振り返ると、音楽番組よりも『不朽の名曲』や『覆面歌王』、授賞式の祝賀ステージのような場所で評価を積み上げてきたことが分かる。大手事務所のような宣伝力がなくても、歌ってみせれば伝わる。中小事務所のアイドルがどう生き残るかは以前書いた「中小ドル」の記事でも取り上げたが、MAMAMOOはその一番分かりやすい成功例の一つだろう。

日本の読者へ

MAMAMOOを初めて聴くなら、まずライブ映像をすすめたい。『不朽の名曲』の「ちょっと待って」を見れば、韓国でなぜ実力派と呼ばれるのか、すぐに分かるはずだ。

最初に聴くなら、次の5曲である。

  • 「Um Oh Ah Yeh(음오아예)」
  • 「You’re the Best(넌 is 뭔들)」
  • 「Starry Night(별이 빛나는 밤)」
  • 「HIP」
  • 「Good Goodbye」(ファサ)

所属が分かれても、4人はまた同じステージに立っている。ワールドツアー『4WARD』には、東京公演も組まれた。

※アイキャッチ画像:Mamamoo in 2026.jpg by David Lee(Wikimedia Commons、CC BY 4.0)

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